これまで私は、音楽の小宇宙にみられる調和の自然法則とその法則を作曲に用いることで自然な構成の音楽が生まれることを、繰り返し述べてきた。今日、音楽の自然性という概念は多くの誤解を受けているため、これについてより詳しく述べたいと思う。それがひいては、Medical Resonance Therapy Music®(登録商標)の理解を促す基礎ともなるだろう。
いつの時代も世に知られる高度文明を生きた偉大な学者たちは、音楽は調和の自然法則を反映した、人類を自然に導くものであるべきだと主張してきた。
こうした高度な文明の日常では、鳥のさえずり、寄せては返す波や風にそよぐ葉擦れの音、天体の軌道、そして幼年期から老年期に至る人間の成長とも、完全に自然調和する音楽が追求された。
人間が自然から遠ざかるにつれ、音楽も不自然なものになっていった。事実、人類の大思想家たちは、音楽から自然な調和が失われたのは人間が自然から遠ざかったからだと主張している。
環境の危機が叫ばれる現代、人間の中で生命調和の自然法則についての知識が曖昧になれば、精神的緊張を煽ったり表面的・身体的な感覚を刺激したりする音楽が現代音楽産業の主流となっていったとしても不思議ではない。知的な作曲技法の範囲で生まれる前衛音楽にせよ、ロックやポップシーンにせよ、世界規模で環境破壊が進行する今の世の中に生まれた不幸な子どもたちは、生命と音楽から自然の調和が失われてしまったことを嘆いている。
私たちは、自然の調和を求める次世代の切実な叫びにしっかりと耳を傾けなければならない。