これは、既知の先進的文化では常にみられる人類太古の夢である。また欧州文化圏では、およそ紀元前500年にギリシャの学者ピタゴラスがすでに、ひとつの楽音は変化に富んだ多様な内的世界をもち、内部で自然な構成の変化を生じるという事実を指摘していた。
また彼は、この楽音の自然な進化を決定する調和の法則は、生物学的生命や宇宙の進化を支配する法則と同一であると主張した。1
学識ある医師の育成で知られたピタゴラスの学校では、音楽の小宇宙を認識して分析を行うために、彼自らが二つの方法を用いて指導にあたった。
1つ目は“直観による方法”で、音楽の小宇宙とそこにみられる美しい楽音の変化を精神的・自発的に理解する。音楽の小宇宙で働いている調和の自然法則に耳を澄ます、内的で創造的な直接経験である。2
2つ目は“経験的認識による方法”で、科学技術を用いた外的な音の分析を通して行うものである。